事例

事例作成日:2019/03/25
更新日:2019/03/25

質問

(300)軽自動車を利用する女性が多いと思いますが、そのことが女性の社会進出とかかわっているのでしょうか。

カテゴリ

06. 社会07. 労働・社会保障

ヒアリングのポイント

事前調査資料として、『軽自動車の使用実態調査報告』(日本自動車工業会編)は確認し、女性の利用が多いことはわかっているが、使用用途は「買い物」などの比率が高く、「通勤・通学」の比率が思ったほど高くなかったことから、女性が働きやすくなってきた要因の一つとして上げられるのか、確認したいということでした。 まず、最新の軽自動車の市場動向調査も示して、基本な統計を伝えます。車を利用する女性が増えていることが女性の就業率に繋がっているのではないかと言う結果を示す資料は少ないですが、
女性の社会進出を促進する要因として、制度の整備や保育園などの施設、福祉の充実だけでなく、就業を困難にしているライフスタイルと環境、暮らしを支える条件を考えることも必要です。
軽自動車に限定するのであれば、なぜ軽自動車に女性のイメージがあるかを調べると、女性の足としての自動車の意義を明らかにできます。コマーシャルも女性に向けたものが多く、軽自動車を選ぶ理由は「運転しやすいから」、税金や経費の安さ、乗用車は夫、軽自動車は妻が所有するという構図があります。図書検索を「女性×運転」で検索すると、『女性のための~』と題した本が多く検索されます。女性は運転が下手、小さくて安い軽自動車がジェンダーバイアスイメージになっている可能性が高いと考えられます。また「安い」ということで、パートやアルバイト雇用の女性でも購入し、維持することができるということなど、統計をもとにそれらを論じることで、軽自動車と女性の関係を浮き彫りにすることができるのではないでしようか。

参考資料・情報源

・女性情報ポータル”Winet”「文献情報データベース」
・自館OPAC
・国立国会図書館オンライン

提供情報・回答

コメント

軽自動車と限定せず、乗用車全体の使用率を『乗用車市場動向調査』から見ると、2017年度は女性の主運転者比率が48%となっています。2005年の35%に比較して増加傾向にあることがわかります。それを軽自動車に限定すると、2017年度調査では女性ユーザーの割合が66%と、乗用車全体に比べて高いことから、女性が軽自動車を利用する率が高いことが確認できす。しかし2017年度ユーザーの年代は60代以上が32%を占めており、その有職率が22%であることから、必ずしも有職者の層の保有が多いとは言えない数値でした。ただし、通勤などの自動車の必要度は地域性に因ります。保有状況も首都圏と地方圏、近郊と周辺部等では違い、代替できる交通機関がなければ自動車で買い物や通勤・通学をすることになります。軽乗用車が地方圏家族成熟期~結晶期と設定された層に保有率が高いという統計あります。また広島市の介護サービスに限った調査には、女性がセカンドカーを日常的に運転することが多いことが勤務を可能にしているとまとめています。
一方で、女性の運転免許の保有者数は2017年に全体の45.1%となっており、1969年の17%から年々増加しています。旅客運送業務に必要な第二種免許の保有数も増えています。運転する女性が増え、運転業務に就くために取得していることが読み取れます。
可能であれば、統計情報の元データを入手し、他の女性雇用状況の統計とクロス集計をかけることで、それを裏付けとした分析ができます。

◆インターネット
・『軽自動車使用実態調査』日本自動車工業会、2018.11.15アクセス
http://www.jama.or.jp/lib/invest_analysis/s_car.html
・『乗用車市場動向調査』日本自動車工業会、2018.11.15アクセス
http://www.jama.or.jp/lib/invest_analysis/four-wheeled.html
・『運転免許統計』警察庁交通局運転免許課、2018.11.15アクセス
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo.html
・『労働力調査』総務省(e-Stat)、2018.11.15アクセス
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200531&tstat=000000110001

◆雑誌
・伊藤修一「日本における軽自動車保有率と既婚女性就業率との関係の空間分析」『日本地理学会発表論旨集2018s』日本地理学会、0000237、2018
・吉田容子「女性就業をめぐる諸問題への地理学的アプローチ」『地理科学』、v.53,no.3、p.2217-226,1998
・由井義通、加茂浩靖「介護サービス業に従事する女性の断片化された就業時間と生活~東広島市の事例』『地理科学』v.64no.4, p.211-227

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