事例

事例作成日:2013/03/27
更新日:2013/03/27

質問

(241)日本の女性図書館司書の歴史について調べたいのですが、どのような資料がありますか。

カテゴリ

01. 思想・理論・運動03. 教育・研究12. ことば・情報・メディア

ヒアリングのポイント

・論文やレポートのためか、あるいは司書という職業に関心があっての調べているのかを尋ねる。
・戦前からか戦後か、いつ頃までさかのぼって調べたいのか、また公共図書館か大学や学校、専門図書館までも調べたいのかを確認する。

参考資料・情報源

・自館所蔵資料データベース
・国立女性教育会館女性情報ポータル"Winet"「文献情報データベース」
・国立情報学研究所「CiNii Books」「CiNii Articles」
・国立国会図書館NDL-OPAC
・インターネット

提供情報・回答

 1921(大正10)年に開かれた第16回全国図書館大会(4月16日~21日奈良で開催)では婦人を図書館員として採用することの可否についての論議が行われた。
 同年6月に開設された文部省図書館員教習所は男女共学であり、第1期入所者35名のうち、女性は5名であった。
(汐崎順子「小河内芳子:児童サービスのパイオニア」『Library and information science』60号、p. 29-60、2008)
 1920年代は女性が図書館という職場に進出した時代であった。帝国図書館初の女性職員(1924年採用)は中木美智枝、帝国図書館女性司書第1号(1925年採用)は河野不ニである。
(小黒浩司「日本における図書館利用者の歴史的変遷について」『現代の図書館』50巻3号、p.150-156、2012.9)
 図書館関連の専門雑誌に「婦人図書館員」をテーマとした論文が掲載されたのは、1927年の『図書館雑誌』が最初である。竹林熊彦「日本の婦人図書館員について」21巻5号、p.161-162、1927.5、それに呼応して、鈴木賢祐「図書館員としての婦人」21巻7号、p.219-221、1927.7が掲載された。

◆文献情報
「文献情報データベース」や「CiNii Books」「CiNii Articles」等を「婦人 図書館員」「女性 図書館員」「婦人 司書」「女性 司書」等で検索すると、以下のような資料がある。図書として出版されているものは、戦後活躍した女性図書館司書の実践報告が多く、歴史を調べるには、図書館関連分野の専門雑誌記事にあたる必要がある。

【文献目録】
・赤瀬美穂「日本における女性図書館員文献目録」『現代の図書館』24巻4号、p.238-243、1986.12
*主に戦後の日本における女性図書館員に関する文献を、I.一般的な意見、論文、II.調査・統計資料および事情、III.外国の女性図書館員に関する文献の3つに分けて採録。

【図書館関連の専門雑誌が特集として女性図書館員をテーマに取り上げた号】
・『みんなの図書館』203号、1994年3月 特集「女性問題としてみた図書館労働」
・『現代の図書館』24巻4号、1986年12月 特集「女性図書館員」
・『図書館雑誌』77巻4号、1983年4月 特集「婦人司書の再就職を考える」
・『図書館雑誌』75巻4号、1981年4月 特集「婦人司書の地位を考える」
・『図書館雑誌』67巻3号、1973年3月 特集「女性図書館員」
・『図書館雑誌』60巻3号、1966年7月 特集「図書館員とは何か:女性図書館員について」

【雑誌記事】
・大島真理「CIE図書館の女性図書館員たち」『図書館界』56巻4号、p.224-235、2004.11
・宮崎真紀子「女性図書館員の誕生:大正期に図書館員教習所で学んだ女性たちを中心として」『図書館界』47巻6号、p.342-347、1996.3
・塚田豊「女性図書館員にとっての労働条件(横浜の場合)」『みんなの図書館』203号、p.9-11、1994.3
・榎倉執子他「雇用機会均等法と女性図書館員」『現代の図書館』24巻4号、p.194-203、1986.12
・木村武子他「神奈川県婦人図書館員研究会の活動とその終止符」『現代の図書館』24巻4号、p.220-223、1986.12
・神谷伸子「公共図書館の職員構成:女性は図書館の半分を支える」『現代の図書館』24巻4号、p.228-231、1986.12
・緒方牧子他「女性図書館員の現状」『ドクメンテーション研究』33巻5号、p.229-236、1983.5
・神谷伸子「大阪府下公共図書館における女性図書館員の実態調査について」『図書館界』31巻2号、p.210-214、1979.7
・山本芳枝「図書館雑誌にあらわれた婦人図書館員のあゆみ (1)(2)」『図書館学』29号p.3-13、1976.10、32号、p.12-20、1978.3
・村口敏子「婦人図書館員の問題」『図書館雑誌』62巻7号、p.15-19、1968.7
・小河内芳子「婦人図書館員の問題」『図書館雑誌』60巻3号、p.2-4、1966.7
・鈴木賢祐「図書館員としての婦人」『図書課雑誌』21巻7号、p.219-221、1927.7
・竹林熊彦「日本婦人図書館員に就いて」『図書館雑誌』21巻5号、p.161-162、1927.5

【図書】
・石川文化事業財団編『お茶の水図書館の60年』石川文化事業財団、2007
*「女性専用図書館としての歩み」(1965年~2005年)の章に、女性図書館員の仕事内容についての記述や写真が掲載されている。

コメント

 各文献において、「女性図書館司書」と「女性図書館員」ははっきりとした区別なしに用いられているようである。

ページトップへ

女性情報ポータルWinet
  • 国立女性教育会館 女性教育情報センター

  • 〒355-0292 埼玉県比企郡嵐山町菅谷728/

    tel: 0493-62-6195/mail:infodiv@ml.nwec.go.jp