事例

事例作成日:2005/02/23
更新日:2005/02/23

質問

(128)日本では、女性研究者はその数も処遇も諸外国に比して低いようです。大学への進学率の男女差も少なくなっているのになぜなのでしょう。

カテゴリ

03. 教育・研究11. 科学・技術

ヒアリングのポイント

「女性研究者」とは何を指しているのか確認しておく。この事例では社会科学、自然科学、人文科学を総称した女性科学研究者という意味で使っている。
日本の「日本学術会議」への女性研究者の進出度、ノーベル賞の女性受賞者などについても言及する必要があるのか、大学・大学院の女子学生の進学実態も確認する必要があるのか、諸外国との比較も必要なのか、どこまで調査がすんでいるのなどについて確認しておく。

参考資料・情報源

自館所蔵資料データベース
WinetCASS「文献情報データベース」
インターネット

提供情報・回答

【大学・大学院進学率、大学での女性研究者データ】
・文部科学省が毎年行っている「学校基本調査」にデータがある。

【図書・資料】
・原ひろ子編『女性研究者のキャリア形成:研究環境調査のジェンダー分析から』勁草書房、1999
*この一冊があれば、女性研究者をとりまく環境に関してライフコース分析、評価などの状況が一目瞭然である。加えて男女を対象とした調査も行い、ジェンダー要因の考察もある。セクハラ、非常勤問題の今日的な問題にも注目しているのが特色である。
・女性の多様なキャリアを支援するための懇談会『女性研究者への支援(多様なキャリアが社会を変える ; 第1次報告)』女性の多様なキャリアを支援するための懇談会、2003
*女性研究者の現状・諸外国との比較、女性研究者支援の基本的な視点・方策、そのための提言で構成されている。後半にある「参考資料」の項では実態調査・意識調査など詳しく記載されている。
*インターネットでも入手可能
・原ひろ子 [ほか] 編『ジェンダー問題と学術研究』ドメス出版、2004
・都河明子『翔(はばた)く:女性研究者の能力発揮』ドメス出版、2004
・内閣府男女共同参画局編『男女共同参画白書(平成15年版)』国立印刷局、2003
*女性研究者に関する項目あり。インターネットでも入手可能。
http://www.gender.go.jp/whitepaper/h15/danjyo/html/column/col01_08_01_01.html
・女性研究者問題全国シンポジウム実行委員会編『第10回女性研究者問題全国シンポジウム:21世紀の科学・技術を男女共同で拓くために:報告集』第10回女性研究者問題全国シンポジウム実行委員会、1999
・JAICOWS編『女性研究者の可能性をさぐる』ドメス出版、1996
・「女性研究者 愛知女性研究者の会20年のあゆみ」編集委員会編『女性研究者:愛知女性研究者の会20年のあゆみ』ユニテ、1996
・首都圏大学非常勤講師組合編『大学教師はパートでいいのか:非常勤講師は訴える』こうち書房、1997

<科学・技術の分野として>
・ヘルガ・リュープザーメン=ヴァイクマン他編;小川眞里子,飯島亜衣訳『科学技術とジェンダー:EUの女性科学技術者政策』明石書店、2004
・日本女性技術者フォーラム調査部会編『しなやかにプロフェッショナル:科学者・技術者をめざすあなたへ』新水社、2004
・佐野夕美子『女性技術者と男女共同参画社会:イキイキ働きキャリアアップしよう』明石書店、2004
・小川眞里子『フェミニズムと科学/技術(双書科学/技術のゆくえ)』岩波書店、2001
・エヴリン・フォックス・ケラー;幾島幸子、川島慶子訳『ジェンダーと科学:プラトン、ベーコンからマクリントックへ』工作舎、1993
・ロンダ・シービンガー;小川眞里子、藤岡伸子、家田貴子訳『科学史から消された女性たち:アカデミー下の知と創造性』工作舎、1992

<アメリカ関係>
・ホーン川嶋瑶子『大学教育とジェンダー:ジェンダーはアメリカの大学をどう変革したか』東信堂、2005
*巻末にアメリカの女性研究者の実態(数の推移、学位・博士号取得比率、大学・大学院進学率、労働環境など)が詳しく記されている。
・坂本辰朗『アメリカ大学史とジェンダー = Gender and history of American higher education』東信堂、2002

<ノーベル賞関連>
・シャロン・バーチュ・マグレイン;中村友子訳『お母さん, ノーベル賞をもらう:科学を愛した14人の素敵な生き方』工作舎、1996
・U・フェルシング;田沢仁, 松本友孝訳『ノーベル・フラウエン:素顔の女性科学者』学会出版センター、1996
・マーガレット・アーリク;上平初穂, 上平恒, 荒川泓訳『男装の科学者たち:ヒュパティアからマリー・キュリーへ』北海道大学図書刊行会、1999

【インターネット】
・「Female Nobel Prize Laureates」『The Nobel Prize Internet Archive』[日付なし]、The Nobel Prize Internet Archive、2005.2.27アクセス、http://almaz.com/nobel/women.html
*女性のノーベル賞受賞者の一覧がある。
・「審議会情報:女性の多様なキャリアを支援するための懇談会:文部科学省」『文部科学省』[日付なし]、文部科学省、2005.2.27アクセス、
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/008/toushin/030301.htm
・「ジェンダー問題と学術の再構築」『日本学術会議』[2003年5月20日報告]、日本学術会議、2005.2.27アクセス、http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/index.html
*学術会議では「ジェンダー問題の多角的検討特別委員会」という特別委員会が開かれている。上記URLから報告書が入手可能。
*ちなみに初めて日本学術会議の女性会員となったのは、1981年第12回日本学術会議会員210名の選挙で選ばれたたった一人の女性、猿橋勝子さん(総理府男女共同参画室『えがりて』No.17、表紙写真参考)

<女性研究者団体>
・「女性科学研究者の環境改善に関する懇談会(JAICOWS)」
http://jaicows.fc2web.com/
*日本学術会議の会員や関連委員会(経験者も含む)の女性研究者の会(Japanese Association for the Improvement of Conditions of Women Scientists)。
・「女性科学者に明るい未来をの会」 http://www.saruhashi.net/
*自然科学の分野で顕著な研究業績を収めた女性科学者に贈られる猿橋賞受賞者一覧がある。
・「日本科学者会議 女性研究者・技術者のページ」 http://www.geocities.jp/jsajosei/
*このサイトでは大学での女性研究者の比率や国立大学での男女共同参画への取り組みなど、全国の状況を知ることができる。
・「日本女性科学者の会」 http://leo.aichi-u.ac.jp/~kunugi/sjws/
・「女性研究者の会・京都」 http://www.geocities.jp/joseiken/index3.html
・「女性科学者フォーラム」 http://www.ostec.or.jp/pln/wsf.html
・「男女共同参画学協会連絡会」 http://annex.jsap.or.jp/renrakukai/
*「研究者アンケート」で、「民間企業に比して、大学関係者では未婚率子ども数ともに改善されていない」という結果がでている(2003年調査)
・「日本女性技術者フォーラム」 http://homepage3.nifty.com/jwef/
・”International Federation of University Women” http://www.ifuw.org/
・”American Association of University Women“ http://www.aauw.org/

コメント

・日本での女性研究者の処遇の実態は、諸外国に比して確かに低いといえる。近年、男女共同参画を進めるために、官も民も女性研究者の環境改善に向けて、積極的な提言が相次いでいる。また、ジェンダーを中心課題とした新たな学会、例えば「ジェンダー法学会」「フェミニスト経済学日本フォーラム」などが立ち上がり、学問の諸領域に女性が参画するだけでなく、ジェンダーの視点で学問への問いかけが盛んになったきたといえよう。
・NWECでも「女性研究者ネットワーク支援のための調査研究」を行い、さまざまな方向から女性研究者たちが手を結んで環境改善や研究成果の共有に向けてネットワーク化を図ろうとしている。

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