事例

事例作成日:2004/09/30
更新日:2004/09/30

質問

(114)これまでクラシック音楽の世界では、特に作曲や指揮で活躍している人といえば、どうしても男性が主流になってきたようです。「ジェンダーの視点で音楽を考える」というような研究はされているのでしょうか。

カテゴリ

02. 歴史・民族・宗教13. 文化・芸術・スポーツ

ヒアリングのポイント

・どんな立場から調査をしようとしているのかを確認する。学術的な調査なのか、個人的な立場、例えば演奏家、作曲家としての興味なのか。
・男性の作曲家、指揮者、演奏家が活躍していた時代からみれば、昨今ではかなり女性たちも名を馳せてきている。そのような具体的な女性たちのことを知りたいのか。

参考資料・情報源

・自館所蔵資料データベース
・WinetCASS「文献情報データベース」
・国立音楽大学附属図書館

提供情報・回答

【ジェンダー視点で書かれた図書資料】
・池田忍, 小林緑編『視覚表象と音楽』明石書店、2010
・三木草子, レベッカ・ジェニスン編『表現する女たち : 私を生きるために私は創造する : 京都精華大学総合講座「女性と芸術」から』第三書館、2009
・ヴェロニカ・ベーチ『音楽サロン : 秘められた女性文化史』音楽之友社、2005
・齊藤和枝『芸能・音楽における女性の活躍』松香堂書店、2005
・フライア・ホフマン『楽器と身体 : 市民社会における女性の音楽活動』春秋社、2004
・小林緑編『女性作曲家列伝』平凡社、1999
・スーザン・マクレアリ;女性と音楽研究フォーラム訳『フェミニン・エンディング:音楽・ジェンダー・セクシュアリティ』新水社、1997
・エヴリヌ・ピエイエ『女流音楽家の誕生』春秋社、1995

*クラシックには直接関係ないが、下記のような資料も出ている。
・『女性作曲家音楽祭2007 : ガイドブック 』谷戸基岩(知られざる作品を広める会)、2007
・白石美雪 [ほか] 『芸術と性差 : 武蔵野美術大学ジェンダーリサーチ共同研究論文集』武蔵野美術大学芸術文化学科研究室、2006
・ポーリン・オリヴェロス『ソフトウェア・フォー・ピープル : 現代音楽へのジェンダー的論考』新水者、2003
・舌津智之『どうにもとまらない歌謡曲:七〇年代のジェンダー』晶文社、2002  
*「音楽」に特化して述べているわけではないが、既成の文化人類学に批判的なものとして下記の資料も参考になる。
・田中雅一, 中谷文美編『ジェンダーで学ぶ文化人類学』世界思想社、2005

 
【女性音楽家について歴史的に述べられた図書資料】
・玉川裕子『クラシック音楽と女性たち』青弓社、2015
・梅野りんこ『オペラのメデイア : 近代ヨーロッパのミソジニー』水声社、2014
・ロバート・ジーグラー, スミソニアン協会監修『世界の音楽大図鑑』河出書房新社、2014
・菅原 透『ベルリン・フィルその歴史秘話』アルファベータ,2010.9
・萩谷由喜子『五線譜の薔薇 : 音楽史を彩る女性たち』ショパン、2002
・ソフィー・ドリンカー;水垣玲子訳『音楽と女性の歴史』學藝書林、1996(原書は1948年刊)
・エヴリヌ・ピエイエ;金子美都子・川竹英克訳『女流音楽家の誕生』春秋社、1995

【具体的な女性音楽家に関する資料】
・NDC分類しているところは「762 芸術/音楽」の書架に女性音楽家の評伝やエッセイがあればそれらを紹介するとよい。クララ・シューマン、松尾葉子、フジ子・ヘミングなど。その他、歴史上著名な男性作曲家を支えていた女性、たとえばアルマ・マーラー、コジマ・ワーグナーなど。
・現在活躍している音楽家については、WinetCASS「文献情報データベース」で「指揮者」「作曲家」等で検索してみるとよい。

【このテーマで組織的に研究している団体】
・『国立音楽大学附属図書館』、2018.6アクセス、http://www.lib.kunitachi.ac.jp/default.htm
・『女性と音楽研究フォーラム』、2018.6アクセス、http://www.women-music.net/
*代表小林緑(国立音楽大学教授)はこのところ意識的に「ジェンダーと音楽」についてさまざまな研究と実践を行っているので、目が離せない。第16回総合女性史研究会女性史講座でも「ジェンダーと音楽史:ジェンダー差別と闘った女性ルイーズ・ファランク」と題して小林緑さんが講師を務める(2004.9 文京区男女平等センター)。

その他関連情報として、2000年9月ローマにおいて、「音楽における女性宣言」が承認された。もともとは1996年第一回国際シンポで26カ国の女性音楽家たちが「フィウッジ宣言」に署名したことに始まる。「法律は機会均等を規定していても、女性音楽組織は現存の法律と合致していない。演奏会での女性作品の増加、音楽組織において女性が一層大きな役割を担うよう」という内容の宣言。ウェブサイトで組織運営されている模様。

コメント

この分野の研究はまだ新しいようで、今後面白いテーマになると思われる。雑誌『季刊女も男も:自立・平等』、『イメージ&ジェンダー』、他音楽大学の紀要などに記事が見つかるので、WinetCASS「女性情報CASS」でNWECや国会図書館の雑誌記事検索をしてみるとよい。

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