事例

事例作成日:2004/09/08
更新日:2004/09/08

質問

(103)最近「トラフィッキング」という言葉をみかけました。アジアから来た女性などが関係しているようです。強制売春やDVとの関連など詳しいことを知りたいのですが。

カテゴリ

04. 性・心・からだ・健康05. 政治・政策・法律

ヒアリングのポイント

・ことばの意味(人身売買との違いなど)を知りたいのか、これまでの国際条約や会議の経緯も必要か、関係する最近の社会の動き(行政、NGOなど)も詳しく知りたいのか、実際に被害者支援グループやボランティアにかかわっているのかなど質問者の立場を考慮して情報を提供する。 

参考資料・情報源

・自館所蔵資料データベース
・WinetCASS「文献情報データベース」
・新聞クリッピング
・インターネット(検索エンジン・内閣府・法務省・厚生労働省・国連)

提供情報・回答

【図書】
・京都YWCA・APT編『人身売買と受入大国日本:その実態と法的課題』明石書店、2001
・移住連「女性への暴力」プロジェクト編『ドメスティック・バイオレンスと人身売買:移住女性の権利を求めて(移住連ブックレット 2)』移住労働者と連帯する全国ネットワーク、2004
・国立国会図書館調査及び立法考査局編『外国の立法 No.220(特集 諸外国における人身取引に関する立法動向)』国立国会図書館調査及び立法考査局、2004
*下記で、pdfでも提供されている。2004.11.16アクセス
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legislation2004.html

【行政資料】
・国際連合『「人身取引」に関する議定書(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書)仮訳』1998年(2000年11月国連総会採択)
・内閣府男女共同参画局『女性のトラフィッキング関係条約規定』2002、2004.11.7アクセス、http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/siryo/bo14-1.pdf 
・内閣府『第14回 男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会議事録』、2002、2004.11.7アクセス、http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/gijiroku/bo14-g.html
・内閣府男女共同参画会議・女性に対する暴力に関する専門調査会『女性に対する暴力についての取り組むべき課題とその対策』、2004

【ビデオ】
・(財)横浜市女性協会日本語版製作;ジリアン・カルドウェル製作・監督『買われ、売られて』(英語・日本語字幕つき)、1997
・(財)社会安全研究財団製作『トラフィッキング:闇の人身取引ビジネス』、2003

【グループ】
「人身売買禁止ネットワーク(JNATIP)」http://www.ajiazaidan.org/jnatip/
*全国の人権擁護に取り組むNGO、法律家、研究者、ジャーナリストで結成されたグループ。加害者の処罰と被害者の救済制度の見直しなど実効性のある包括法を作るよう議員や行政に働きかける取り組みを始めた。

【会議報告】
・アジア財団日本事務所『トラフィッキングって何?:世界に広がる人身売買と日本の責任(国際シンポジウム議事録)』2003.1.22 於:UNハウス、2004.10アクセス、http://www.ajiazaidan.org/japanese/forums/22-1-2003/pdf-file/trafficking-jp.pdf

その他『売買春ととりくむ会ニューズ』No.16(2003.5.21)では、コロンビア女性被害者の事件(ソニー事件)の際、法令違反で逮捕された68人の女性のうち、婦人保護施設に保護された女性が一人もいないこと、トラフィッキングでは被害者が被害者として扱われないことに触れている。

コメント

・トラフィッキングは人の密輸、人身売買・人身取引などと訳されているが、買春などの性的搾取や強制労働などの他に臓器摘出行為も含まれる。対象は女性だけではないが、最近女性に対する暴力として焦点が当てられている。
・「男女共同参画会議・女性に対する暴力に関する専門調査会」の課題の中にも取り上げられており、加害者の処罰の強化、被害者の保護、人身取引議定書の早期締結、国際協力の推進がその対策として提言されている。
・日本政府は2000年11月に採択された「人身取引議定書」の批准を早急に行うよう国連の女性差別撤廃委員会に勧告を受けており、今年2004年6月14日に発表された米国務省の報告書でも「監視対象国」に位置づけられたこともあって、8月17日には2005年の通常国会での批准に向けて犯罪対策の強化と被害者保護を柱に国内法整備を急ぐ方針を固めた。被害者救済策は厚生労働省が進めており、法務省も在留特別許可を積極的に与えるなど法改正までの運用面で、被害者保護重視の対策に乗り出した。
・法律制定に対する視点の提案などを働きかけるNGOなどの活動やシンポジウムの開催なども盛んになってきており、この言葉を目にすることが増えたので質問に備えたい。

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