事例

事例作成日:2004/02/12
更新日:2004/02/12

質問

(89)ブラック・フェミニズム(black feminism)の流れをレポートに書こうとしています。
参考になる資料を教えてください。

カテゴリ

01. 思想・理論・運動02. 歴史・民族・宗教

ヒアリングのポイント

調査の目的を確認する。
言葉の意味や、歴史的な流れをどこまで調査済なのか、必要な時代などを聞き出す。
フェミニズム運動としてとらえていく必要があるのか、ブラック・フェミニストその人自身のことを調査したいのかも確認する。

参考資料・情報源

自館所蔵資料検索ツール
WinetCASS「文献情報データベース」

提供情報・回答

【ことばの確認と時代背景など基礎的な知識を知るために必要な資料】
・リサ・タトル、渡辺和子監訳『フェミニズム事典(新版)』明石書店、1998
*見開き二頁にわたり歴史的な流れから、その時代を切り拓いてきた黒人女性活動家の思想まで詳細に記載されている。
・マギー・ハム、木本喜美子ほか訳『フェミニズム理論辞典』明石書店、1999
・ソニア・アンダマールほか、奥田暁子監訳『現代フェミニズム思想辞典』明石書店、2000
・ジャネット・K.ボールズ、ダイアン・ロング・ホーヴェラー編著、水田珠枝ほか監訳『フェミニズム歴史事典』明石書店、2000

【ブラック・フェミニズムの流れを概観できる資料として】
・藤本和子『塩を食う女たち:聞書・北米の黒人女性』晶文社、1982
・岩本祐子『アメリカ黒人女性の歴史:二〇世紀初頭にみる「ウーマニスト」への軌跡』明石書店、1997
*そもそもブラック・フェミニズム(フェミニスト)のことばそのものが差別的な意識を含んでいるということで、作家アリス・ウォーカーが「ウーマニスト」と名づけた。
・ベル・フックス、清水久美訳『ブラック・フェミニストの主張:周縁から中心へ』勁草書房、1997
*この著者はブラック・フェミニストの代表格で、その後、堀田碧訳『フェミニズムはみんなのもの:情熱の政治学』新水社、2003 を著し、もっと誰にでも分かりやすいフェミニズムの理論が必要、と日常的な事象をフェミニズムで説明していて、とてもよくわかる。
・ヴィッキー・L・ルイス、エレン・キャロル・デュボイス編、和泉邦子ほか訳『差異に生きる姉妹たち:アメリカ女性史における人種・階級・ジェンダー』世織書房、1997
・渡辺和子編『アメリカ研究とジェンダー』世界思想社、1997
・ベル・ミルスティン・カバほか著、宮城正枝ほか訳『われらアメリカの女たち(ドキュメントアメリカ女性史)』花伝社、1992
・武田貴子ほか『アメリカ・フェミニズムのパイオニアたち:植民地時代から1920年代まで』彩流社、2001

【アメリカ文学とフェミニズムとしての観点からブラック・フェミニズム(フェミニスト)を概観できるもの】
・エレイン・ショーウォーター編、青山誠子訳『新フェミニズム批評:女性・文学・理論』岩波書店、1990
*ここでは代表的な作家アリス・ウォーカーやトニ・モリスンなどを輩出してきた北米女性黒人作家の背景に言及している。
・アリス・ウォーカー、柳沢由美子訳『カラーパープル』集英社、1986
・トニ・モリスン、大社淑子訳『青い眼がほしい(女たちの同時代北米黒人女性作家選1)』朝日新聞社、1981
・森あおいほか編『トニ・モリスン(現代作家ガイド4)』彩流社、2000
*そのほか、二人の著作はたくさん翻訳出版されているので情報提供が必要か。
・稲木妙子[ほか]、英米文化学会編『行動するフェミニズム:アメリカ女性作家と作品』新水社、2003
・原恵理子編『ジェンダーとアメリカ文学』勁草書房、2002
・鈴木璋子『アメリカ女性文学論』研究社出版、1995
・マイケル・オークワード、木内徹訳『アメリカ黒人女性小説:呼応する魂』 彩流社、1993 

【アートからブラックフェミニズムに言及しているもの】
・萩原弘子『ブラック:人種と視線をめぐる闘争』毎日新聞社、2002
・リサ・ブルーム編、北原恵ほか訳『視覚文化におけるジェンダーと人種:他者の眼から問う』彩樹社、2000
・グリゼルダ・ポロック、萩原弘子訳『視線と差異:フェミニズムで読む美術史』新水社、1998

<雑誌・紀要>
・岩本裕子「ブラック・フェミニズムの源流を探る:『黒人の声』誌(一九〇四?〇七)を手がかりに」『女性学』vol.2、p.173-179、1994.6
・テレサ・ウイリアムズ[述]、稲邑恭子「講演記録:ブラック・フェミニズムの主張:「違い」を認めながら連帯すること」『くらしと教育をつなぐWe』8-10号、p.2-10、2000.2・3
・稲邑恭子「なぜいまブラック・フェミニズムなのか:オードリー・ロードとベル・フックス」『くらしと教育をつなぐWe』8-10号、p.11-18、2000.2・3
・吉原令子「ブラック・フェミニズム:1960年代以降のアメリカ女性運動を通して」『昭和女子大学女性文化研究所紀要』第19号、p.33-46、1997.1
・大橋稔「ハリエット・ジェイコブズの奴隷体験:ブラック・フェミニズムの源流を求めて」『JIU女性学』6巻1号、p. 151-175、2003

コメント

黒人フェミニストとして、アンジェラ・ディビス、バーバラ・スミス、オードリー・ロードなど書ききれない人物も多い。また、ブラック・フェミニズムの立場から書かれた文学、戯曲、アート、音楽などが多いことも伝える必要がある。

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