事例

事例作成日:2004/02/07
更新日:2004/02/07

質問

(87)「性同一性障害」という言葉をよく聞きます。性転換、同性愛、TS(トランス・セクシュアル)、TG(トランス・ジェンダー)、ドラッグ・クイーンなど性別に関わる沢山の言葉も使われるようになり、その区別がよくわかりません。

カテゴリ

04. 性・心・からだ・健康05. 政治・政策・法律

ヒアリングのポイント

どの程度まで知識があるのか。当事者なのか一般的知識として知りたいのか。戸籍など法律的な扱いも知りたいのか。性の歴史や外国の事例も必要か。当事者の生育状況、手術後の体験談などの手記を読みたいのか。学会や医学関係の現状を知りたいのか。

参考資料・情報源

・自館データベース
・インターネット
・新聞クリッピング
・自館作成資料(催物ちらし)

提供情報・回答

当事者の記録や海外における研究者の追跡ドキュメンタリーなども数多く出版されているので、行政資料や法律問題、海外事情などと共に提供する。映画、テレビ番組などにもたびたび登場するが、映像やインターネットでは人権を無視した興味本位の情報も多いので、情報の選択に配慮する必要がある。映画の名作がビデオ化されていたり、女性センターなどでの上映会もあるのでその情報も提供する。
資料は多数あるので、利用者の要望に沿って選んでもらう。

<図書資料>
・山内俊雄『性転換手術は許されるのか:性同一性障害と性のあり方』明石書店、1999
・吉永みち子『性同一性障害』集英社、2000 
・虎井まさ衛『トランスジェンダーの仲間たち』青弓社、2000
・針間克己『一人ひとりの性を大切にして生きる:インターセックス、性同一性障害、同性愛、性暴力への視点』少年写真新聞社、2003
・石原明、大島俊之編著『性同一性障害と法律:論説・資料・Q&A』晃洋書房、2001
・大島俊之『性同一性障害と法(神戸学院大学法学研究叢書 ; 11)』日本評論社、2002
・虎井まさ衛編著『語り継ぐトランスジェンダー史:性同一性障害の現在・過去・未来』十月舎、2003
・野宮亜紀[ほか]『性同一性障害って何?:一人一人の性のありようを大切にするために』緑風出版、2003
・ヴァネッサ・ベアード『性的マイノリティの基礎知識』作品社、2005 
・セクシュアルマイノリティ教職員ネットワーク編『セクシュアルマイノリティ(第2版)』明石書店、2006 
・ジョー・イーディー編著『セクシュアリティ基本用語事典』明石書店、2006 

<行政資料>
・参議院編『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案』参議院、2003
(http://houseikyoku.sangiin.go.jp/bill/pdf/156-017.pdfで読める。2004.3.18アクセス)

<団体資料>
・日本精神神経学会性同一性障害に関する特別委員会編「性同一性障害に関する答申と提言」『精神経誌』99巻7号、1997年
・「TSとTGを支える人々の会」資料作成グループ『性同一性障害者も生きやすい社会を!資料集(改定第2版)』、1999

<雑誌記事>
・小野寺理「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」『ジュリスト』No.1252 p.66-69、2003.9.15
・筒井真樹子「消し去られたジェンダーの視点:「性同一性障害特例法」の問題点」『インパクション』No.137 p.174-181、2003.8.30

<インターネット>
「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」『日本精神神経学会』2004.3.18アクセス
http://www.jspn.or.jp/04opinion/2006_02_20pdf/guideline-no3.pdf

コメント

「性同一性障害」はWHOが定めた国際疾病分類に掲載されていることから医学的疾患として扱われており、名前の変更は許可されても、戸籍の訂正はほとんど不許可であったが、平成15年7月法律案(特例法)が可決され、要件を満たした者のみ法律上の性別変更が認められるようになった。この法律案は3年を目途に検討される。夫婦の場合、当事者が婚姻の維持を望んでいても、法律上の性別変更には婚姻の解消が必要であることや、諸外国にも例をみない「現に子がいないこと」という要件など、議論の余地の多い法律案であることから、当事者の人権を考慮し、性によって差別されない社会を創っていくためには、一般社会の理解が不可欠で、的確な情報の提供ができるように準備したい。
*ドラッグ・クイーン(drag queen): ドラァグ・クイーンとも表記される。(2004.11.1追記)

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