事例

事例作成日:2020/03/26
更新日:2020/03/26

質問

(305)2020年度から実施される会計年度任用職員について書かれている資料・統計はありますか。

カテゴリ

05. 政治・政策・法律06. 社会07. 労働・社会保障

ヒアリングのポイント

研究や業務のためか、当事者として調べたいのかなど質問者の意図を確認する。

参考資料・情報源

・国立女性教育会館情報ポータル“Winet”「文献情報データベース」
・国立情報学研究所CiNii Articles、CiNii Books
・自館所蔵資料データベース
・インターネット

提供情報・回答

・会計年度任用職員は、2020年4月からはじまる、非常勤公務員の新しい任用制度によって設けられる職名。2019年12月末現在で得られるのは、地方自治体の制度の準備状況についての調査統計となっている。
・地方公務員に占める臨時・非常勤職員の増加を受け、H17年、総務省は初めての実態調査を実施し、その数を45万人と同定。その後も、臨時・非常勤職員は増え、H28年の調査では、64万人(11年間で4割増加)となった。また、その4分の3(74.9%)が女性であることも明らかになっている。*1
・総務省は、H28年に、その任用と処遇のあり方について検討する「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」を設け、H29年に、「臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するために可能な限り立法的な対応が必要」とする報告書を出した。*2
・こうした流れを受けて、H29年5月に、地方公務員法と地方自治法の一部が改正された。その結果、「特別職非常勤職員」、「臨時的任用職員」の任用要件の厳格化が行われると同時に、新たに会計年度任用職員が設けられ、期末手当等の給付体系にも変更が加えられた。
・国会では、H29年に法改正に係る審議が行われ、衆参両院で、付帯決議がつくかたちで法改正がなされた。
・法改正後、総務省は、臨時・非常勤職員の制度改正を受け、地方自治体に向けた運用マニュアル等を作り、各地方自治体は、新たに設けられる会計年度任用職員の給与等を定める条例を制定し、2020年4月から、各地方自治体で制度の運用がはじまりる。*3
・この制度は、地方公務員の働き方改革、と位置付けられているもので、公務領域で重要な役割を果た
している臨時・非常勤職員についての任用根拠を明確にし、処遇の改善を図ることが目的とされている。ただし、任用が1年毎であること、また、処遇は改善傾向にあるものの正規公務員と比較すると、今も大きな格差があることなどが指摘されており、課題も大きいとされている。

◆インターネット情報
<法律>
「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律」衆議院、2019.12/23アクセス、
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/19320170517029.htm
「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」衆議院、2019.12/23アクセス、
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/soumu40456B1A93B445814925811D001FC398.htm
「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」参議院総務委員会、2019.12/23アクセス、
https://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/193/f064_04131.pdf

<関連サイト>
*1「地方公務員の臨時・非常勤職員に関する実態調査」総務省、2019.12/23アクセス、
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000078.html
*2「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」総務省、2019.12/23アクセス、
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/chihoukoumuin_ninyou/index.html
*3「地方公務員制度等」総務省、2020. 2/15アクセス、
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/koumuin_seido/index.html
・「臨時・非常勤の記事一覧」全日本自治団体労働組合、2019.12/23アクセス、
http://www.jichiro.gr.jp/temp
・「非正規公共」日本自治体労働組合総連合、2019.12/23アクセス、
https://www.jichiroren.jp/tag/%e9%9d%9e%e6%ad%a3%e8%a6%8f%e5%85%ac%e5%85%b1/
・官製ワーキングプア研究会、2019.12/23アクセス、
http://kwpk.web.fc2.com/

◆雑誌記事
・関洋子「シンポジウム『「女性」から考える非正規公務問題 : 会計年度任用職員制度・相談支援業務から女性の貧困まで』に参加して」『みんなの図書館』513号、p.40-45、2020.1
・図書館問題研究会職員問題委員会「「会計年度任用職員制度」と図書館問題研究会職員問題委員会の取り組み : 「働き方改革」を司書の待遇改善につなげるために (第45回研究集会編)」『図書館評論』60号、p.38-44、2019.6
・戸谷雅治「会計年度任用職員制度の課題」『年報公共政策学』12号、p.91-109、2018、2019.12/6アクセス、
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/70297/1/APPS12_07.pdf
・湯浅孝康「地方自治体における臨時・非常勤職員の制度改正 : 事前評価を通じたデザインと理論の重要性」『日本評価研究』19巻1号、p.19-34、2019.1

◆新聞記事
・沢路毅彦「ボーナス出ても月給が減るなんて・・・非正規公務員 来春スタートの「会計年度任用職員」 : 年収変わらず「お金遅くもらうだけ」 : 外部委託やパート化の動きも 人件費、新制度で増えるのを避け」『朝日新聞』、2019.12.02
・小林由比「公務員 女性活躍なおざり : 保育士・看護師・相談業務 高い非正規の割合 : 専門性に比べ低い処遇」『東京新聞』、2019.12.16
・伊藤明日香「非正規公務員にボーナス 47都道府県、来年度から : 県も2.6月分支給へ 月給は減額、雇用一度終了 : 手当支給も続く格差 自治体の非正規職員 任期1年、雇用不安」『埼玉新聞』、2019.12.08

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