事例

事例作成日:2016/03/25
更新日:2016/03/25

質問

(287)女子差別撤廃条約を日本が批准して30年経ちましたが、どのような影響があったのでしょうか。

カテゴリ

02. 歴史・民族・宗教05. 政治・政策・法律

ヒアリングのポイント

・レポートや研究のためか、仕事で必要なのかなど、質問者の目的、立場を確認する。
・日本への影響か、世界、特定の国について調べているのかを確認する。

参考資料・情報源

・国立女性教育会館女性情報ポータル“Winet”「文献情報データベース」
・国立情報学研究所「CiNii Books」「CiNii Articles」
・自館所蔵資料データベース
・インターネット

提供情報・回答

女子差別撤廃条約(外務省公定訳「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」)は1979年国連で採択され、日本は1985年に批准し、2015年で30年が経過した。同年、弁護士の林陽子氏が日本人初の第15代CEDAW委員長に選出された。

まず条約を批准する前に、明らかに条約に違反している以下の3つの法律等の整備が行われた。その3つとは、1984年「国籍法」の改正(父系血統主義から父母両系血統主義に等)、1984年家庭科の教育に関する検討会議、続いて1985年の教育課程審議会の答申を経て、1989年学習指導要領の改定による高等学校家庭科の女子のみ必修から男女必修化、1985年「男女雇用機会均等法」の成立、である。

批准後は、締約国は、条約が効力を発生してから1年以内に第1次レポートを、その後は少なくとも4年毎に定期レポートを国連事務総長に提出し、女子差別撤廃委員会(CEDAW)による審議が行われる。これには、政府代表が招かれ、CEDAW委員との間で「建設的対話(Constructive dialogue)」が行われ、審議の結果は「総括所見」として各国にフィードバックされる。

日本は1987年に第1回を提出、2014年に第7回及び第8回を提出、2016年2月までに5回の審議が行われている。CEDAWは、政府報告を補うNGOの役割も重視しており、日本では「国際女性の地位協会」が1987年の設立以来、条約の研究・普及に努め、年報『国際女性』では、毎年の審議内容が詳しく提供されている。また2002年からは「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)」がロビイングや総括所見の履行の監視を行っている。

CEDAWからの勧告は多岐にわたるが、国内法に影響したものとして、男女雇用機会均等法の間接差別の禁止、2015年には最高裁において民法の再婚禁止期間300日が違憲(100日に短縮)との判決などがあげられる。

【Webで提供されている参考資料】
・「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(CEDAW)」『内閣府男女共同参画局』、2016.2.29アクセス、
 http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_teppai/index.html
*条約全文、日本政府報告等が提供されている。
・「女子差別撤廃条約」『外務省』、2016.3.18アクセス、
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/
*作成及び採択の経緯、締約国一覧等が提供されている。
・日本弁護士連合会「婦人差別撤廃条約の批准と関係法令の制定等に関する決議」1980、2016.2.29アクセス、
 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/1980/1980_4.html

【雑誌記事、特集】
・矢澤澄子「女性のエンパワーメントとジェンダー平等:国連「北京+20」の節目に」『NWEC実践研究』6号、p.6-34、2016、2016.3.18アクセス、
 http://id.nii.ac.jp/1243/00018642/
・「特集 女性差別撤廃条約批准30周年:NGOの視点から」『国際女性』29号、2015
・内閣府男女共同参画局総務課「北京+20、我が国の女子差別撤廃条約批准30年」『共同参画』79号、2015.06、p.2-5、2016.2.29アクセス、
 http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2015/201506/201506_02.html
・林陽子「女性差別撤廃条約:30年目の到達点」『国立女性教育会館研究ジャーナル』第14号, 2010、p.3-14、2016.2.29アクセス、
 http://www.nwec.jp/jp/publish/record/journal.html#vol14
・山下泰子「ジェンダー平等社会への好機--女性差別撤廃条約採択三〇周年と日本の課題」『世界』801、p.240-247、2010.2

【関連団体】
・「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)」、2016.2.29アクセス、
 http://www.jaiwr.org/jnnc/index.htm
・「国際女性の地位協会」、2016.2.29アクセス、
 http://www.jaiwr.org/

コメント

参考事例
(44)女性差別撤廃条約(女子差別撤廃条約)の選択議定書というものがあると聞きましたが、これはどういうものですか?

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