事例

事例作成日:2012/03/26
更新日:2012/03/26

質問

(226)性犯罪加害者に対する最近の政策や取組について知りたいのですが。

カテゴリ

04. 性・心・からだ・健康05. 政治・政策・法律

ヒアリングのポイント

・質問者の立場について、研究者や学生で論文等に使うのか、あるいは被害者支援などの活動のために情報が必要なのかなどを、プライバシーに留意しつつ尋ねる(質問者が被害当事者や、加害者家族である場合も想定し、配慮して聞く)。
・知りたい内容は日本国内か、海外か、また国連、行政機関など公的な取組か、市民レベルの取組も含めるかなどを尋ねる。
・性犯罪の中で、何に焦点をあてているか(セクハラ、ストーカー、痴漢、わいせつ、強姦等)を尋ねる。

参考資料・情報源

・国立女性教育会館女性情報ポータル”Winet”「文献情報データベース」
・国立情報学研究所「CiNii」(NII論文情報ナビゲータ[サイニィ])
・自館所蔵データベース
・インターネット

提供情報・回答

 日本では、2004年に性犯罪の再犯者が起こした奈良県の女児誘拐殺害事件を機に性犯罪者処遇の充実を求める声が高まり、法務省が「性犯罪者処遇プログラム」を2006年度から全国の刑務所などで導入した。また、性犯罪の再犯防止を目的として、2005年6月から、性犯罪者の出所情報の提供が始まった。
 googleや、文献情報データベース、CiNii等を「性犯罪 加害者」、「性犯罪者」等で検索すると、以下のような資料がヒットする。

◆日本の取組
<行政資料>
・法務省矯正局・保護局『性犯罪者処遇プログラム研究会報告書』2005
 Webでも提供されている。2011.12.24アクセス、
 http://www.moj.go.jp/content/000002036.pdf
 *アメリカ、イギリス、カナダの海外視察報告も掲載されている。
・法務省『犯罪白書(平成18年版)』2005
 *第6編第4章第4節「性犯罪者処遇プログラム」p.264-270
 Webでも提供されている。2011.12.26アクセス
 http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/52/nfm/n_52_2_6_4_4_0.html
 *第6編第4章第5節(p271-280)には「諸外国における性犯罪の動向」が掲載されている。Webでも提供されている。2012.3.16アクセス、
 http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/52/nfm/n_52_2_6_4_5_4.html
・「子ども対象・暴力的性犯罪の出所者による再犯防止に向けた処置の実施について」2011.1.13、警察庁生活安全局、2011.12.26アクセス、
 http://www.npa.go.jp/pdc/notification/seian/seianki/seianki20110113-1.pdf
・内閣府男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会『「女性に対する暴力」を根絶するための課題と対策:パープルダイヤル(性暴力・DV相談電話)の結果を中心として』2011
 *「3 性犯罪への対策の推進」
 Webでも提供されている。2011.12.26アクセス、
 http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/siryo/ka39-2-3.pdf

<図書資料>
・読売新聞大阪本社社会部『性暴力』中央公論新社、2011
 *「第2章 病巣」に受刑者プログラム、再犯防ぐ教育・治療が取り上げられている。また「第4章 海外からの報告」にアメリカ、韓国、カナダの取組が取り上げられている。
 *上記図書の元となった連載記事がWebで提供されている。
 「性暴力を問う」『読売新聞』読売新聞社、2012.3.16アクセス、
 http://www.yomiuri.co.jp/osaka/feature/kansai1286328064854_02/index.htm
・田口真二[ほか]編著『性犯罪の行動科学:発生と再発に向けた学際的アプローチ』北王路書房、2010
・藤本哲也『性犯罪研究』中央大学出版部、2008
 *第1章が日本、第2章「諸外国における性犯罪者対策」、以降の章にアメリカ、オーストラリアの取組がまとめられている。

<雑誌記事>
・原田隆之「性犯罪への対策:認知行動療法の限界と今後の展望(性とこころ:女と男のゆくえ)『現代のエスプリ』521号、p.139-146、2010.12
・久保貴「回復支援・治療の現場から 保護観察所で行われている性犯罪者処遇プログラムについて(特集「治療的司法」への道--再犯を防ぐ弁護活動と取組み)」『刑事弁護』64号、p.53-56、2010
・太田達也「我が国における性犯罪者の再犯防止対策:現状と課題(警察政策フォーラム これからの性犯罪対策)」『警察学論集』62(3)、p.120-139、2009.3
・藤本哲也「我が国の性犯罪者処遇プログラム」『法学新報』114巻5/6号、p.1-29、2008.2

<新聞記事>
・高橋雄介、金子靖志「追う:性犯罪者GPS波紋:被害者「少しは安心」弁護士「看過できぬ」:宮城県条例検討に賛否」『読売新聞』2011.2.21
・田中博子「性犯罪者居住地の条例案議会提出へ:大阪知事」『毎日新聞』2011.12.14
・「再犯防止策強化定期的に面談も:子供への性犯罪者警官が訪問」『産経新聞』、2011.01.14

<関連団体>
・『性障害専門医療センター(SOMEC)』2012.3.16アクセス、
 http://www.somec.org/index.html
 *性犯罪の防犯、再犯防止のための性障害治療に取り組んでいる。

◆海外の取組
図書資料は、前掲「日本の取組」を参照のこと。

<雑誌記事>
・藤本哲也「時報サロン 犯罪学の散歩道(219)オーストラリアにおける危険性の高い性犯罪者に対する特別法」『戸籍時報』665号、p.106-111、2011.2
・井樋三枝子[訳]「児童ポルノ及び子どもに対する性犯罪に関する法律」『外国の立法』241、p.45-48、2009.9
 Webでも提供されている。2012.3.16アクセス、
 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/241/024103.pdf
・白井京「海外法律事情 : 韓国 : 児童対象性犯罪の再犯防止と厳罰化のための法改正」『ジュリスト』1401号、p.55、2010.6

コメント

 性犯罪加害者に対しては、更生プログラムへの取組がなされる一方、GPSなどの厳罰化の動きもあり流動的であり、新聞記事、雑誌記事等から新しい動きを調べる必要がある。
 日本では「第3次男女共同参画基本計画」の第9分野「女性に対するあらゆる暴力の根絶」で、加害者に対する再犯防止対策の推進が書かれている。

参考事例
(187)性被害を受けた人を支援する情報にどのようなものがあるのか知りたいのですが。

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