保育士、自営業、情報誌発行の経験を生かした子育て支援~大谷清美さん

保育士、自営業、情報誌発行の経験を生かした子育て支援~大谷清美さん
<プロフィール>
保育士として働いていたが、結婚を機に退職、夫の自営業を手伝う。1998年、31歳のときに子育て情報誌「びぃ〜んずキッズ」を主婦の仲間と創刊。当初情報発信が目的だったが、子育てに関わる支援が求められていることを知り、子育て支援を行うNPO法人を2001年に設立。行政や企業と連携しながら女性も働ける場所、労働の対価を支払えるNPO活動を実践。(40代)
大谷さんのこれまで
1985年 高校卒業後、個人経営の保育所で事務をしながら保育士見習い。通信教育で保育士資格をとり、保育所や企業の託児所に勤務
1992年 結婚を機に保育士の仕事をやめ、夫の自営業(オートバイ関係の皮つなぎを縫う職人)に従事
1995年 企業の工場の保育士として再就職
1997年 夫の自営業が忙しくなったので、保育士をやめ夫の仕事に従事
1998年 子育て情報誌「びぃ〜んずキッズ」を主婦の仲間と創刊。編集長となる
2001年 NPO設立、理事長となる
2011年 NPO法人チャイルドケアセンター大野城から、NPO法人チャイルドケアセンターに名称変更
2013年 NPO法人チャイルドケアセンター那珂川支部発足
保育士として働いて

  大谷さんは小さい頃から共働きの親の手伝いをよくしており、将来は小児科の看護師か保育士になりたいと考えていました。高校卒業後は、働く病院も決まっていましたが、卒業前になり病院の都合で採用取り消しになってしまいました。当時はとても落胆しましたが、それなら保育士になろうと、自宅の近くの保育園を飛び込みで訪問し、7件目の個人経営の保育園で、事務のアルバイトとして採用されました。その後、通信教育で保育士資格を取得し、保育士として働くことになります。
  大谷さんは、趣味のオートバイのレースのため、夜間の企業内託児所で働き、趣味と保育士の仕事を両立していました。23歳のとき、オートバイで知り合った夫と結婚し保育士をやめ、夫の自営業手伝いとして働くことにしました。

育児情報誌「びぃ〜んずキッズ」の発行

  子どもを保育園に預けて夫の仕事を手伝っていたましたが、1997年3人目の子どもが生まれる前後に、仲間9人で子育てママグループ「びぃ〜んず」を結成、翌年そのメンバーと子育て情報誌「びぃ〜んずキッズ」を創刊しました。きっかけは、県の「情報誌づくり」の講座(5回程度)に参加し、何か子育ての情報発信ができるものをと考えたことでした。読者に知ってもらいたいという思いで一生懸命作り、みんな手弁当でした。夫は活動を理解してくれていました。そのかわり家のこと、子育てをしっかりするように言い、活動に反対することはありませんでした。

NPO法人の立ちあげ

  活動しているうちに、子育てネットワークの必要性を痛感するようになりました。また育児サークルの活動が行き詰っていることも知りました。そのため育児サークルを中心に連携の声をかけましたが、ネットワーク化はなかなか軌道にのりませんでした。さらに情報誌の活動で知り合った子育ての専門家、行政に声をかけ、17、18名のメンバーで子育て支援を行っている組織・団体のネットワークを作る話し合いを重ねていくうち、NPO法人設立の提案が出ましたが、消極的な意見が大勢を占め、いったん白紙となりました。
  そんなとき、東京町田市で初めてNPOがファミリーサポート事業を始めたことを知り、すぐに話を聞きに行きました。帰りの飛行機の中で、この事業は大野城市に必要だ、自分たちでもできると確信していました。戻ってからすぐに、「子育て支援のNPOを一緒にやらないかと仲間に声をかけ、2001年11月にNPO法人「チャイルドケアセンター大野城」を立ちあげました。
  設立当初、事務所は自宅、経費はメンバーで負担し、スタッフは無給でした。当時、大野城市の子育て支援課の女性係長が、大谷さんたちの声をしっかりと聞いてくれ、皆が集まる拠点が必要だと伝えているうちに、市の建物の一角を無料で使えるようになりました。その後、設立の翌年度からファミリーサポートのモデル事業を受託し、2003年女性労働協会に登録して、正式にファミリーサポートセンターとしての活動を開始しました。その後、市の学童保育事業を受託し、活動は軌道に乗り始めました。特に、市に要望を出し続けた結果、2005年から総事業費の10〜15%がスタッフの報酬として委託費に入ることになり、報酬をある程度支払うことができるようになりました。

複合型の子育て支援をめざして

  「チャイルドケアセンター」は、ひとつのNPOで、ファミリーサポート、病児保育、学童保育等の事業を一体として運営し、独自の自主事業なども含めて地域の力を結集し、子育て支援に取り組もうとしています。おもな事業は、以下の4つです。
(1)「大野城市ファミリー交流センター」の運営・管理業務(委託事業)
住宅地に位置するログハウス風の建物で、中はフローリングのホールが広がり、元保育士の大谷さんのレイアウトや備品等への優れた目配りが発揮されています。この建物の管理とだれでも自由に参加できる子育て広場「ぽっかぽかひろば」の運営を行っています。気軽に遊びによれる場、子どもを自由に遊ばせながら親子がふれあい、仲間づくりができるような場の提供を心がけています。
(2)「ファミリー・サポート・センターおおのじょう」事業
小学生までの子ども預かり、急な子どもへの対応が必要になった親への援助を目的としています。平日の午前9時〜午後7時は1時間当たり600円、延長10分あたり100円で子どもを預けることができ(休日や早朝・夜間もあり)、子どもを預かる会員の報酬は子どもを預ける会員が支払う額そのままです。また、子どもが病気のとき、急な残業・宿泊を伴う出張のときなどの緊急時に子どもを預かる『ふくおか緊急サポートネットワーク事業』は、厚生労働省が平成17年度から取り組み始め、平成18年福岡県社会福祉協議会が本部となり、大野城・春日・那珂川をチャイルドケアセンターが支部となって活動を始めました。その後、平成23年から大野城市・太宰府市は、それぞれのファミリー・サポートへ移行されました。
(3)「小学校高学年長期休暇中児童クラブ支援事業等の実施(受託業務)」
  2006年、学童保育の保護者有志とチャイルドケアセンターで、小学校高学年の子どもを対象に長期休暇中の児童クラブを立ち上げました。役割分担として、チャイルドケアセンターは事務局として後方支援を担っています。保護者が主体的に実施する事業なので、保護者同士・保護者と指導員との交流をはかり、問題点の改善や情報の共有ができるような運営を心がけています。
(4)独自事業として子育てサポート・家事援助サービスや育児サークルの開催
「あい さぽーと(子育てサポート・家事援助サービス)」、育児サロン・サークルの開催や運営、中学校子育てサロン、子育て情報誌「びぃ〜んずキッズ」発行などを行っています。大手スーパーや農協等との連携も積極的に進めており、子どもたちが大手スーパーの環境保護の体験学習に参加したり、農協からはイベントの際に野菜を寄付していただいたりしています。

男女共同参画の視点から

  「チャイルドケアセンター」の活動の大きな特徴は、第1に様々な子育てのニーズにこたえようと幅広い活動を行っていること、第2に女性が働く場を増やし、作っている点、第3に子どもがいるお母さんも働ける職場、スタッフに報酬をきちんと払う職場をめざし実現している点です。これらの特徴は、理事長の大谷さんの職業経験、社会活動、自らの子育て経験など、さまざまな経験を強く反映しています。
  子育て不安の解消、母親をはじめとする女性のより磯王の活動の場の提供、適切な報酬の支払いをめざすことは、男女共同参画社会の形成に大きく寄与しています。

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